社会人13年目 花屋
花になりたい  「いつかきっと。花を咲かせよう。」始まりはここから 。ずいぶん前、父が1枚の紙に書いてくれた言葉。何年も無造作に壁に貼ってあったその紙がすごく嫌いだった。  20代前半、ココロの病気「鬱病」でした。花なんて咲かせるわけがないと。未来なんて夢なんて、ただただ辛かった。何がどうなんて説明できない、自分の呼吸音に吐き気がする、普通になりたいっていつになれば 空が青くなるんだろうって。もうずっと、青い空は見えないと思ってた。  ある日、母が一冊の雑誌を買ってきてくれた。なんてことのない苗や種が買える100円くらいの通販雑誌。それまでの私は、花のことなど何も興味はなく、来る日も来る日もパラパラとページをめくる日がずっと続いた。そんな時出逢った、「オステオスペルマム」という花。花弁の表と裏の色がとても対照的で裏の色に強さを感じ、表面の色に優しさを感じた。 「花になりたい。」
今思えば可笑しな考えだけど、本当にそう思った。一瞬でもいい…。一瞬でいいから…。私もこんな風に強く優しく、生きていけないだろうか…と。 それからだった、本当。外に出て陽を浴びようと積極的な気持ちになるココロ、ガーデンセンターに向かい苗を買いプランターを買い、寄せ植えをする事に夢中になる。  夏が過ぎ秋が来る、冬を迎え霜が降り、花が駄目になってしまっている。ある日父が鉄パイプとトタンで作ってくれた霜よけの花の為の屋根。決して見栄えは良くない花々の居場所。早朝に見た葉に残る朝露が忘れられない。小さな雫が反射してキラキラしてても花のように空を見上げたいと心から思った。(花に携われること…何か出来ないかなぁ… )
 こんな風に思えた自分にビックリで嬉しかった。  真っ暗だった空が本当にキラキラした日、私の中にある一生忘れられない青い空。一瞬にして世界が変わることが本当にあるんだって。それからは…もう、本当…花に夢中だった。  過ごしてきた中で、すぐそこにある小さなことが人のココロを動かしてくれる…。何時か、いつの日か、この場所から私らしく伝えていけないだろうか…。  そんな小さな種のような想いが、やがてお店という花を咲かせた。私のお店「空に花束」小さなこの場所から、それぞれの想いに出逢いたい。花をとおしてココロに笑顔に出逢いたい。生きるために働くことはもちろんそうなのだけれど、もっともっと違うこと。花をとおして私の想いをお届けすること…。  あの青い空の日が今在る私の全て「きっかけ」です。弱音ばかりの日には青い空を思い出し、お客様がくださった励ましのお便りや感想のお便りを読み返す。笑顔やココロに出逢えること、なんてなんて素晴らしいんだろうか。って。  ココロに笑顔に出逢える今がすごく好き。これからもずっと。花を通し、たくさんのココロに、笑顔に、出逢いたい。  そして。小さなきっかけで咲くみんなのココロの花。そんなココロの花に出逢うことが私の働く夢。  「いつか きっと。花を咲かせよう。」あの時父が書いてくれた言葉は、今も私の部屋に貼られています。  曽根倫 33歳
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